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主流血統短評 ・祖先系統 ■親系統 基準タイム; 1200「S」 欧1:11? 日1:08(スプリンターズS) 米1:10? 1600「M」 欧1:37(ジャックルマロア賞) 日1:33(マイルCS) 米1:35? 2000「I」 欧2:03(チャンピオンS) 日1:58(天皇賞秋) 米2:01(BCクラシック;ダ) 2400「L」 欧2:30(凱旋門賞) 日2:24(ジャパンカップ) 米2:27(ベルモントS;ダ) <現代型競馬の血統資質> スタートから一定のスピードで走り続ける能力=先行力がNative Dancer系 ゴールの何百メートルか手前で加速した時の加速力、時間変化率の多さ=瞬発力がNorthern Dancer系、 スピードのピークの高さ=スピードの絶対値がTurn-to系、 スピードの頂点からの時間減少率の低さ=持久力がNasrullah系、と大まかに把握する。 Phalaris外の零細血統は距離適性やパワー、スタミナといったサブ因子に影響する。
気性の問題を抱えているが良質なスピードと持続力を伝える。 ■トニービン 瞬発力はある、と評されるが現代型のNorthern D.系統と比較すると勝負にならない。 母父側に入ると持続力を濃く伝えるため大舞台に特に強く、中長距離G1では必須の血。 ■ジャングルポケット が、やはりHyperionに引っ張られたのかスピード能力は伸びず 長距離、重芝など特殊条件でしか活躍馬を出せていない。 ■フォルティノ 短距離向きの資質だが我慢が利くのである程度の瞬発力を発揮することが出来る。 ■Caro 一方で父母母と母母母はどちらもHampton系の長距離の系統を持つ。 それぞれの距離固定因子が強いが短距離、長距離それぞれのスペシャリストを出す傾向がある。 ■Cozzene 母母側にSir Gayloadが入りTurn-to系のクロスが入ればスピード強化を得ることが可能。 ・Never Bend 瞬発力は低めでアメリカらしい持続型。 ■Mill Reef 短距離マイルを主戦とする産駒が多い。パワー不足に泣き坂を苦手とする弱点がある。 ■Riverman 日本では下り坂からのスピード維持ができる京都が得意。 Mill ReefよりもTeddy系のパワー補完が効いている。 ・Princely Gift系統 単純にスピード因子のみが伝わり、スタミナは全て母依存になっている。 ■テスコボーイ 母方のGainsboroughクロスの影響が出ると長距離もこなせる系統になる。 ・Bold Ruler系統 先行力と持続力が強み。瞬発力は低い。 ■Secretariat 中長距離で強烈なスピードを活かした高速決着が大得意。 零細の弱みか、遺伝力は乏しいがそれを逆手にとってクロスを重ねても悪影響は出にくい。 ■Raja Baba ■Seattle Slew 主流血統を含み遺伝力が強い。 ■A. P. Indy Nas.の持続力とスピードを強く伝えるが、ダート寄りの足元と怪我のリスクがついてまわる。 こっそりくっついているTom FoolはMr. Pro.系と和合する可能性がある。 ・Red God Teddyもいるのでダートへの適正もある。距離、馬場ともに万能な系統。 Nas.系にあってその瞬発力と器用さは異端。 ■Blushing Groom St. Simon譲りの気性難も引き継いでいる。馬群を嫌い、後方からの瞬発力で勝負する一発屋のイメージ。 ■Rainbow Quest Raise a Nativeの血が入り柔軟性に欠ける欠点も引き継いでいる。 ■Candy Stripes スピードはもちろん大舞台に強いキレキレの瞬発力を持つ。 本質はマイルだが、我慢が利くので中距離まではこなせる馬もいる。
純粋なスピード能力なら世代随一。その代償に脚元は弱く怪我のリスクが高い。 ・Sir Gayload 軽く、跳ねるような走りが特徴でとにかくスピード勝負に強い。 反面、怪我のリスクは高い。 ■Sir Ivor スローで流れたレースを最後に瞬発力で差しきるのに特化した馬である。 Royal Chargerの持つBrenheim牝系とクロスが入りスピードの強化がなされている。 ■Habitat 諸刃の剣の血統だが極限のスピードを要求される勝負で本領を発揮する。 ・Hail to Reason 父親Turn-toの快速そのままで母側Himyar-Teddyの重さ、パワーはあまり感じさせない。 ■Halo スピードの代表格Brenheim-Almahmoud牝系が融合した血統で 欧州で当時大暴れしていたNorthern D.系の亜流とも言える配合である。 Haloの祖であるRoyal ChargerにもBrenheim牝系が含まれるため牝馬クロスが発生している。 この血が代を経て日本で大爆発をする。それを見越した社台はやはり凄かった。 ■サンデーサイレンス そのほかはほぼHaloをそのまま遺伝させる。瞬発力とトップスピードは他の追随を許さず、 さらに世界全体からすれば零細寄りな血統も貴重である。 ■Devil's Bag 遺伝力に乏しい馬になっている。スピードを多少伝えるほかに特筆はない。 ■タイキシャトル 瞬発力にやや乏しく先行力で勝負した特性からもHaloの影響はほとんどなくなっていると考えられる。 ・Roberto NearcoとBlenheim牝系の両方からスピード因子を受け継いでいる。が、 その能力はインブリード特有の気性の悪さに影響され常に100%というわけにはいかない。 物凄いレースを見せるか、あっさり惨敗かの両極端。 ■ブライアンズタイム Ribot=Graustarkのスタミナで勝負する馬が多かった。とすると本質はダートだろうか。 ムラ駆けなのは父譲り。 ■グラスワンダー 距離やコース適性は狭まったものの快速系の産駒を出すことが多い。 ここ最近まで眠る獅子だったが、スクリーンヒーローで再興の予感。 走りに注文のつかない「ふわりとした」スピード遺伝が大事なのか? こちらもムラ駆け。中山・阪神ならいつ爆走してもおかしくない。
NearcoとHyperionのネガティブニックスは慢性的な持久力不足に陥ることが多かったが Nearctic産駒が瞬発力勝負という新たな世界を開拓し競馬そのものを変えてしまった。 ■Wild Again 傍流ながらBCクラシックを制し血統図の上でも一定の勢力を誇る。 Northern D.系の瞬発力を補助する。 ・Northern Dancer 3種が全て融合した血統の完成形。この血脈を基礎として以後瞬発型の血統が磨かれていくことになる。 ■Nijinsky 母側のTeddy系はパワー因子の強いBull Lea系で欧州芝向きの血統と言える。 スピード決着の弱さは本質がスタミナ不足、短距離向きであることを示しているが 瞬発力があるのでスローペースであればどの距離でも戦える。 ■Green Dancer より短距離型に特化している。かと思えばBlandfordが主張して長距離の馬を出したりするが、 Nijinskyと同じく瞬発力で戦う万能型、それの劣化版と考えればいいか。 ■マルゼンスキー スピードの補助血統であるTom Foolが効果を発揮しているのだろう。 ■Caerleon 瞬発力と絶対スピードの両方を備えた優秀な血統。 スピードが優れる分持久力を欠き距離+ハイペースの極限勝負が苦手。 ・Deputy Minister その父母側、Bunty Lawless=零細系Fair Play系とNative Dancerの父であるPolynesianが近親でクロスしており Northern Dancerらしくない、パワーと先行力を伝える構成に変遷している。 母母側もパワーに富むLa Troienne牝系を持ちパワー&ダートの適性を主張している。 ■Awesome Again 結局味の薄い平均的な種牡馬に納まった。これは大きな利点で、アメリカにおけるクロフネ的な立ち位置で 今後は主流血統の補助に回っていくのだろう。 ■フレンチデピュティ 絶対的なスピードではTurn-toなどには敵わず、また瞬発力もLyphardなどには敵わないのだが 見事に「中庸」を得た配合でパワー、スタミナ、馬格、健康といったサブ因子を多く遺伝する。 ■Lyphard 瞬発力に加えてトップスピードの高さを誇るが、距離は短めに固定。 ■ダンシングブレーヴ 鋭い瞬発力はもちろん長距離までこなせる融通性が強み。 FairwayのクロスとSir Gayloadでトップスピード上限をLyphardよりもさらに伸ばしている。 ただし主流血統の一つであるSir Gayloadを組み込んだために 瞬発力に関しては子孫への遺伝力が弱まっている。 ■ホワイトマズル その血にさらにFairwayを配合した結果、気性難が強まった。Nas.の持続力因子も持っている。 溢れるスピードそのままに逃げ切る戦術を得意としており、Lyphardの瞬発力は失われた。 ■コマンダーインチーフ 瞬発力、スピードともに削がれた。Lyphardの良さは失われている。 ■ノーザンテースト といってもそれぞれパワーとスタミナの因子を強く伝えるので Northern Dancerの瞬発力に万能性・和合性を持たせた血統になっている。 他のN. D.系に比べて瞬発力に劣るもののパワーや持久力に秀でる。 Teddyの影響で距離は短め。 ■ラストタイクーン 母系のMill Reefの影響はほとんどなく、良馬場での瞬発戦に強い。パワーは低め。 ・Danzig 短距離で爆発的なスピードの祖はN. D.系ではなく 母父Admiral's Voyage=Man'O War系の血の濃さではないかと推測する。 瞬発力を特徴とするNorthern D.系の中では異端だが、そのスピードを武器に勢力を広げている。 子孫は中距離まではカバーできる馬が多い。 ■チーフベアハート ハイペースに強い血統に変化している。が、ガチのアメリカン血統にはかなわないので 活躍馬は散発的になる。それでもポツポツG1馬を出している。距離適性は広いのはRibot系の影響か。 ■デインヒル Ribotの爆発力とスタミナが大きく影響している上に、Natalmaのクロスもあってスピード遺伝力も強い。 ■Nureyev Special牝系から取り出すスピードとスタミナの能力は素晴らしく産駒は世界中で大活躍している。 マイルに特に強く、瞬発力+持続力の併せ技で勝負するところはNorthern D.系の正統後継と言える。 馬格が立派に出ることがあり日本ではダートに向く傾向もある。 ■Storm Cat アメリカダートにピタリとハマッたパワーの遺伝力が素晴らしい。 これはNorthern D.ではなくTeddyとSpy Song2本のパワー血統によるものだろう。 スピードの緩急が付けられないのが弱点なので、対側に瞬発力系の血統を配するのが最良の使い方。 父側ではどうしても短距離の呪縛から逃れられないが、母父側では瞬発力さえ補えば距離は伸ばせる。 ■Dixieland Band 母がHyperion 4×5×4のクロスを持つ激重の血でこれはどう考えても長距離向きである。 牝馬では短中距離に出ることがあるが、基本はステイヤーの血である。 ・Night Shift 母父Chop Chopが共通するノーザンテーストとは3/4血統が同じだが、 零細系のBunty Lawless=Fair Play系が入っており短中距離寄りになっている。 ・Sadler's Wells (/Fairy King) Northern D.系の瞬発力とHail to Reason系のトップスピードの両面はもちろん、 血統図の近い位置にSpecial牝系によるスタミナ増幅、Almahmoud牝系のスピード増幅と Lalun=La Troienne牝系のパワー増幅の最強牝系3本が仕込まれているとあれば 相手側の血との和合性も非常に高い。 肝心のNearcticの良さは弱化しているために瞬発力は低くなっている。 ・El Gran Senor Northern D.系の瞬発力をTom FoolとBest in Show牝系で軽めに仕上げた血統である。 パワー不足な点を除いても、主流血統が少ないために卓越したスピードと軽快な走りは遺伝しやすい。
どちらもEclipseの末裔に辿り着く。スピードに特化した血といえるが補助が少なく 手持ちの戦法が少ないのでどうしてもレースぶりが不器用になりがち。距離は対応可能。 Dan Cupid→Sea-bird→Bering、エタン→Sharpen Upと枝分かれしているが、 本流はRaise a Nativeからの子孫になるだろう。 ■Sea-Bird 相当のスピードがあったものと推測される。 父Dan CupidはSickleの血が重ねられておりこのスピードの遺伝とPrince Bio系のスタミナの融合か? ■Bering フランスダービーをレコードで制し、凱旋門賞でダンシングブレーヴに瞬発力で屈したことからも 先行力で勝負するタイプと考えていいだろう。 爆発力を付加するLe Fabuleux、スピードを増加させるAlmahmoud牝系がくっついているし、 Lyphardの瞬発力因子もある。器用そうにみえるのだが、それらの効果は今のところ薄い。 ■Sharpen Up 母父側に入ればスピードの要素が強まり距離は融通性が出るが、 気性難がついてまわるので結局は長距離は難しくなる。 ・Raise a Native その血は現在まで世界を席巻している。結局のところ、瞬発力などの小細工はレースを支配できない。 始めから最後まで飛ばして走れるかどうか、ただそれだけ。 零細血統Fair Play系とMan'O War系のクロスがそれを物語っている。 気性の問題もあって距離は短め。 ・Mr. Prospector 零細血統に程よく修飾されたAlmahmoud牝系のみをこの馬が伝えているのだとすると、 この血統の特長ともいえる「特徴のなさ」「配合相手の特徴の倍化」が説明できるような気がする。 特に同じAlmahmoud牝系を持つHaloやNorthern D.系と相性が良い。 Northern D.系と血統構成を似せてあるのは意図的かどうか?相似配合の可能性も秘める。 ■Unbridled パワーの塊の馬だった。Unbridledはそのパワーを引き継ぎ、 さらにLe Fabuleuxの爆発力で能力を伸ばしている。距離は融通が利くが、基本はダート。 ・フォーティナイナー 一般的には短距離ダート馬になるが、母側の因子で瞬発力やスタミナを獲得できれば芝中長距離の馬を出せる。 Nas.系を経由しないAlmahmoud牝系のクロスが鍵になる。 ■エンドスウィープ 瞬発力を得たために、芝への適性と距離の融通性、さらに爆発力を手に入れている。 Mr. Pro.系というよりは血統的特徴はNorthern D.系に近い。 ■Machiavellian ついでに母母母がNatalmaなのでさらにAlmahmoud牝系を強化する。 自身は短距離の馬だったが母父に入ると距離の融通性も得るようで、Haloのクロスもあるので サンデーサイレンスへの和合性が期待できる。Ribotの爆発力もある。 ■Kingmambo ある程度の瞬発力と持続力を駆使できるところは母父Nur.系の進化版といって良いだろう。 パワー不足ぎみでこの馬自身の遺伝では芝向きの走りだが、 相手を引き立てる特徴も持つので配合によってはダートもこなす。 尖った特技はないが、気性が良く成績が安定しているのも強み。
多くの馬に気性改善効果やパワーの遺伝を与えた。 特にMr. Pro.系は、パワーが不足しがちなのにアメリカのダートをこなさなければならない宿命にあり、 Tom Fool系、Buckpasser系の助けにより大きく躍進したといえる。 ■Top Ville スピード不足に陥りがちな欧州Northern D.系、Sad. Wel.系などにスピード活性を与える。 ■Fair Trial 持っているスピード因子は一流で、さらに臆病な気性は理性を凌駕するためか 瞬発力や先行力の大幅な強化をもたらすことがある。 |
異系血統短評
フランスの馬でサンクルー大章典の勝利馬 シーホーク⇒モンテプリンス、アイネスフウジンと日本にも根付いた血で、 瞬発力を欠くが粘り強さを特徴とする。 ・Gainsborough分枝 Gainsboroughは1918年のイギリス3冠馬。 1875年のエプソムダービー馬Galopinの 5×3×4と強いインブリードを受けている。 Galopinの産駒にSt. Simonがいる。 つまり、GainsboroughはGalopin-St. Simon父子の甥にあたる。 ■Hyperion
Gainsboroughの父Galopinも考えるととその仔St. Simon系の 強いクロスを持っているはずが、なぜか気性の影響は出なかった。 長距離向きの筋肉とスタミナを遺伝させる。 母Selene、小柄な牝馬。いろいろな種牡馬の血に登場する。 ■Fine Top
St. Simon系はどうやっても相手に入ってしまい血は薄まらない。 荒い気性、ムラ駆けも遺伝しやすい。 体型や遺伝からは長距離型と考えられていたが、実際は中距離で活躍した。 Gainsboroughのスタミナが生きることがあり、産駒は 中距離型に出る場合と長距離型に出る場合の両方がある。 母にバラエティ豊かな血が並んだためではないかと推測する。 ■Owen Tudor
穏やかな父Hyperionから生まれたはずのOwen Tudorは St. Simon系の気性難の影響を色濃く受けた上にPhalaris系のスピード能力も受け継いでいた。 加速力の良さから、最初からトップスピードで走ることを覚えてしまい スタミナ系なのに短距離、という矛盾した血統が出来上がってしまったと考える。 そして、この血はけっこう影響力が強い。 気性難は賢さよりはるかに伝わりやすい。 長距離用の筋肉よりも、短距離用の筋肉のほうが遺伝力が高い。 Owen Tudor系は、その論理通りの表現系だといえる。
父系Touchstoneの分枝であるものの、 母父Lexington、さらにその父Bostonも牝系にアメリカ在来種の混じった混血種である。 母母系のボトムもアメリカの在来種である。 Lexington-Boston Himyarの母父系に見られるアメリカ在来種
ダート適性の高さとパワー、早熟性を遺伝させている。 代表産駒■Dominoは「黒い旋風」の異名をとり1600m以下で圧倒的な強さを誇り アメリカ競馬博物館の殿堂入りをしている。 子孫にノボトゥルー、ブロードアピール。 なるほど、この系統の走りが想像できる。 ■Domino - ■Peter Pan の系統がHimyar系の主流だがその先で二手に分枝している。 ■Spy Songは正統後継とも言えるパワーと短中距離特性および早熟性を遺伝させ、 ダイワメジャーやヴァーミリアンを出したスカーレットインク牝系が有名である。 ■Double Jayはややスピードを含んだ快速血統になり、特に母の血に入ると パワーとともにスピードを賦活する。こちらの場合は成長速度は普通。 直系ではないがかつての輸入種牡馬チチカステナンゴがDouble Jayの4×5クロスを持っていた。 ■Teddy Teddy自身はBend Orからの分枝で、 フランスで競争生活を送り、種牡馬初年から数年の産駒もフランスで活躍した。 その後、第1次世界大戦で経済破綻したフランスからアメリカへ輸入されることになる。 Teddy自身は不遇の中で死亡したが、 その仔Sir GallahadやBull Dogがアメリカ血統との交配で爆発し大流行血統となった。 Sir Gallahadはクレイボーンファーム、Bull Dogはコールドストリームファームと 当時のアメリカを代表する牧場で種牡馬入りしたことが 馬達にとってもアメリカ競馬にとっても幸運なことだった。 ちなみにこの2頭の母は同じPlucky Liegeで、他にBois Rousselを産んでいることからも 身体的にかなり恵まれていた可能性が高いし、 芝・ダート兼用の万能馬だったのでダートにもよく適合した、という評価が正しいだろう。 さらにTeddyの子孫にHimyar系などのアメリカ牝馬の血が多く流れ込んだことによって 現在のTeddy系統はパワー活性を高めているのである。 いくつかの分枝について述べる。 世界的に繁栄しているBull Dog - Bull Lea のラインには Himyar他アメリカンの血があまり混入していない。 その結果、■Bull Lea は、Teddyのなかでも一際万能性・融通性が優れる血統となっている。 Sir Gallahadから■Gallant Fox - ■Victoria Parkと後継馬が繋がり、 母父として■ノーザンテーストを産み出し、巡り巡って日本にその血が到達している。 これもまた馬場や距離に対する融通性を持つ血統だろう。 Teddyの子孫Tantiemeはフランスで生まれ凱旋門賞を連覇、Teddyの血を故郷に返す活躍をした。 重馬場をこなすパワーとスタミナを兼ね備えている。 Sun Teddy ー Sunglowのラインからは、スピード優位の■Damascusが出ている。 この系統の途中でこぼれ落ちるようにしてUnderstandingが出て そこからサンデーサイレンスへと血が後継されるが、マイナーなルートのため■Teddyとして括っている。 (例)Gallant Fox ; 父子でアメリカ3冠を制覇
(例)Understanding ; サンデーサイレンスの母父
St. Simonはたった1年の競争生活を全勝で終えた馬だが、 「燃えたぎる蒸気機関車」の異名をとる気性の荒さが取り柄で レースに勝ったあとも暴走を続けることがしばしばあるほどだった。 父GalopineはGainsboroughの項でも説明したエプソムダービー馬だが、 「凶悪な気性」と呼ばれるBlacklockのインブリードを持っている。 母St. Angelaは当時の流行血統をあまり持たない構成だが、 母母母系の気性遺伝の要素の強い位置にBlacklock系がいる。 あえて、なのかどうかわからないが、St. Simonは 気性難のBlackrockを際立たせる血統構成になっている。 優れた身体能力とスピードを遺伝させる能力を持ち、 また牝馬とインブリードを作りづらい血統だったために頑強さも損なわれず 子孫は20世紀初頭まで大繁栄を築いた。
詳しくはwikiなどを参照して欲しいが、父系としてSt. Simon系が滅亡したあとも サラブレッドの遺伝子にはそのコードが残り、現在でも 世界のサラブレッドにおけるSt. Simon由来の遺伝子は10%ほどとも言われ、 3大始祖に匹敵するほどの影響力があるとされている。 一つの例として、スピード根幹であるNearcoの血統図に4×4のクロスとして登場している。 サラブレッドの繊細さ、気性の荒さの由来とされており、 この血が濃くなれば「勝負根性」と「暴走性」の両方を強めることになる。 他の血統で述べる「頭の良さ」とは別のベクトルであることを理解して欲しい。 また、大流行の理由の一つとなった「頑強さ」も遺伝させている。 ■Prince Rose St. Simon系からしばらく代を重ねて、中長距離固定の競走馬が出た。 日本のクラシックと相性が良く、この系統からカブラヤオーやコダマといった名馬が出たが やはりどこか気性が難しい馬だったという印象が強い。 ただ、持続力と瞬発力を若干強化する良い特徴も持っている。 ■Princequilloは■Nas.とのニックスが確認されている。 ■Prince Roseのうち■Princequilloのみ他と区別して色分けする。 ■Bois Roussel Teddyの項でも少し触れたが、父Teddy・母Plucky Liegeの組み合わせの子が アメリカ競馬界で繁栄したことからPlucky Liege最後の仔Bois Rousselも 芝、ダート兼用の馬だったことが想像される。 気性はそれほど激しくないものの体質が貧弱であったのは父Chauser譲りである。 その父Chauserの母Canterbury Pilgrimから半弟Synfordが出ており、 Blandford系に繋がる血脈とBois Roussel系は母系で共通している部分がある。 このことからも穏やかな気性の遺伝が推測される。 Bois Rousselの仔ヒンドスタンが日本に輸入され、 3冠馬シンザンを始めとして日本競馬のレベルアップに大きく貢献したことから Bois Roussel系は日本競馬を育て、日本競馬によって系統が守られたといってもいい。 現在では直系は衰退しているが、繁殖牝馬の中ではまだまだ生き残っている。 特に、ヒンドスタンはBois Roussel系の父に GainsboroughとBlandfordの組み合わせの母の構成となっており、 日本競馬でこの血を見るときにはスタミナ豊富な血統と考えるのが正しいだろう。 脚元が弱く怪我が多いことも子孫に遺伝している。 ■Wild Risk 母の系統としてかなり血が残っているが、激しい気性とともにスタミナを伝える。 大舞台での強さも素晴らしいのは勝気な性格の遺伝のせいだろうか。 仔系統の■Le Fabuleuxはフジキセキの血に混じっており、 成長の早さと頑健な体躯を伝えているのかも知れないが理屈からはどうにも説明しきれない。 これらの系統になると、後述する■Ribotに血が近くなっていくため 因子というより爆発力の強さが目立ってくるのかもしれない。
血統を知る上で人の名前を覚えることはほとんどないが、 イタリアの馬産家「フェデリコ・テシオ」だけは別だ。 当時の競馬後進国イタリアで、年間10頭あまりの小さな牧場から Nearco、Donatelloといった現代まで残る名馬の血を生産し、 欧州を席巻した「ドルメロの魔術師」である。詳しくはwikiを参照してください。 そのテシオが生産した馬の中でも最高傑作と自称するのが Cavaliere d'Arpinoであり、その血はテシオ自身の所有する牝馬に配合され続けた。 その子孫がRibotである。現役生活時は凱旋門賞連覇、他の馬との着差の合計は100馬身以上に及び 20世紀イタリアのスポーツ選手の第4位に選ばれている。馬なのに、である。 ただ、テシオ自身はこの馬がデビューする2ヶ月前に死去している。 彼がこの馬にどんな仕掛けを施したのか。 なぜか■Ribotが血統図に入るとその馬の力が大きく引き伸ばされることがある。 遺伝を超えて強くなる「可能性がある」。こればかりは期待値の問題なので断定は出来ない。 が、フェデリコ・テシオがかけた魔術は現代でもなお健在なのである。 底力、根性、などと言い換えてもいいかもしれないが、当サイトでは爆発力と評する。 ■Graustarkと■His Majestyの全兄弟はスタミナ、■Allegedはスピードに優位性を持つ。 Ribotの血は晩成で開花に時間が掛かる。気長に待たせるのもイタリア気性らしい。
3大始祖Byerley Turkの直系でSt.Simonと同じく 一大ブームを巻き起こした馬だが現在では■Tourbillonを除いてほとんど見ない。 ■Tourbillon あまりに強すぎてジャージー規則なる法律まで作られてしまったほどの名馬。 欧州血統に活力を与えた、といわれているが インブリードで濃くなりすぎた血を緩和し、馬体の頑健さや内臓の強さを与えたと考える。 爆発力を引き出すと考えても良い。 器用な馬が多く小回りでスピードを維持しながら走れる。が、瞬発力勝負は不向き。 本流は■Clarionへ続くパワー血統で、頑健な馬体を遺伝させる。 日本に持ち込まれた■パーソロンはいきなりシンボリルドルフを輩出し その後もトウカイテイオー、メジロマックイーンなどを輩出しブームを引き起こした。 しなやかな筋肉でスピードを得る代償として、タフさに欠ける。 パーソロン
零細血統が流行血統に「喰われた」血統図になっている。 パワー型に向かわずスピードが付加されているのはこの為だろう。 ■パーソロンから分枝するトウカイテイオーとメジロマックイーンを比較してみる。 (例)トウカイテイオー ;激しい気性とスピードの血統
主軸こそ■Tourbillonであっても他3系統が流行スピード血統であり、 トウカイテイオーはこの父に■Northern Dancerの影響も受けている。 流行血統のスピードを■Tourbillonが強化していたといえる。 (例)メジロマックイーン ;年齢を経ると激化する気性と長距離適性
スタミナ系の■Blandford、従順さの■Bois Rousselが組み込まれている。 ■Phalarisの血はほとんど混じっていない。 (ように見えるが、実はリマンドはPhalaris系クロスを多く含んでいる) 栄華を誇ったメジロ牧場だからこそ出来た偉業であった。 他が持つ遺伝特性すなわちスタミナと賢さの強化が施され、 パーソロンが持つスピードをうまく使いながら走っていたのだろう。 メジロマックイーンはとても賢い馬だったが、年とともに「ズルく」なり 調教や競争を嫌がるようなそぶりも見せるようになった。 この血がオルフェーヴルやゴールドシップで注目を浴びたが、 この「ズルさ」も遺伝しているように思う。 菊花賞でこなしたはずの長距離を天皇賞で走れないという「ズルさ」は この血に由来しているのかもしれない。 流行血統の引き立て役としてはかなり優秀だが、 ■Bustedを持つディープインパクトとの相性はあまり良くないかもしれない。 ということは、ステイゴールド亡き今後は衰退していくのかもしれない。
現在から1世紀前、世界恐慌真っ只中のアメリカで 人々の希望を背負った競馬界のヒーローがMan o'Warだった。 時が経った今でもアメリカ誌で20世紀の名馬第一位を獲得している。 快速というよりも豪速といったほうがいいかもしれないほどの 頑健さとスピードを併せ持ち、早熟かつ衰えない成長力もあった。 系統の始祖は他と全く異なるGodolphin Arabianなので 他の系統との和合性がとても高かったことがこうした強さに繋がったのだろう。 現在にもその血は受け継がれているが、Man o'Warの良さは代を重ねるごとに薄まりつつある。 Phalarisの数の暴力の前には仕方ないことだろう。 零細ならではのタフネスさとスピード補強は健在で、 流行血統の隙をついて大物食いを度々やらかしている。 スローの瞬発力勝負では劣るがハイペースの底力勝負で強い。 現在の日本で活躍の場が少なくなっているのが残念でならない。 Man o'War自身は早期完成と成長の持続力が利点であったが現在では成長型は晩成になっている。 Phalarisの早熟性と比べて晩成になってしまっただけなのだが こうした事象からも自然界の血の淘汰を感じてしまう。 アメリカ人はわかりやすい(速い)ヒーローが好きで、飽きやすい。 一世紀前のヒーローも次世代と比べると古臭い、のかもしれない。 |
特殊血統理論 【全兄弟(姉妹)クロス】 同馬のクロスではなく血統構成の全く同じ兄弟のクロス。 同馬のクロスよりも強調効果が高く、マイナス面を出しにくい。 【3/4クロス】 血統図全体の4分の3が同じ馬のクロス。 見逃されやすいがクロスの効果は単一に留まらず、 その馬が持つ残り4分の1の血脈も活性化する。 【牝馬クロス】 種牡馬と違い、牝馬同士がクロスする可能性は低い。 だからこそ、血が濃縮され磨き上げられることが多い。 欠点も遺伝してしまうが、スピードに対する付加効果は絶大である。 【父母相似配合】 ゼンノロブロイの項を参照 ある一頭の偉大な祖先に向けて血統の類似配合を作り、 それらの牡と牝を掛け合わせるとスピードが倍加する。 【3:1因子分配】 血統図全体から零細血統を除いたあとの構成が Phalaris系のスピード因子3:外因子1 に割り振られていること。 馬が強く影響を受ける因子がその割合であることが望ましい と言われる 因子割合に多少幅を持たせて、零細血統を除いた全数:Phalaris因子数が 16:4 15:4 13:3 12:3の割合になっている場合、 スピード付加、融通性付加として評価。 【ボトムライン活性】 3代前母の血脈2本のうち1本と父の系統が同系統を持つこと 全くの同系統であることが望ましいが、 当サイトでは親系統が同じ場合も同様に評価する。 体質面、気性面での改善効果として評価。 【ニックス】 by wikipedia Tom Fool - Mr. Prospector スピード付加 Bold Rular- Princequilo スピード付加 気性改善 Herbagar - Hyperion 持続力付加 ステイゴールド (ディクタス?) - メジロマックイーン (パーソロン?) スピード付加 ディープインパクト (Lyphard?) - Storm Cat 瞬発力強化 |