細道山越え 大井川鉄道編①
~冒険野郎の目覚めの思い出とともに~


昔話。
当時まだ少年だったDは、仲間とともに
キャンプをしに行くために
巨大な荷物を背負って川の上流を目指します。




1992.8月上旬

市街の中心地を抜け
しばらく自転車のペダルを漕いでいると、
風景が田畑の
だけになってしまった。

背中の大きな荷物と
照りつける太陽のせいで、
汗が止まらなくなってしまっている。

だが、タフな友人達は
どんどん進んでいってしまう。

出発の時に
じゃんけんで負けた
自分を本当に恨んでしまう。
おかげで
「テントの骨組み」を運ぶ係に
なってしまうなんて。

でもまあ…はるか後ろでヘバっている
「バーベキューの網と食材」を運ぶ係のI君よりはマシか。
バーベキューの網が
電信柱にひっかかったり と
最悪なことになっている。
口は回るのにイマイチ要領が悪い彼には
まさに荷が重かったか。
不遇だ。不遇少年だ。

「テントの布」の係であるS君が一番重いはずなのに、
なんだあのはしゃぎっぷりは
相変わらず体力の
底抜け野郎だなー
ずっと 
やっほー とか山に向かって
騒いでいる。少しは落ちつけよ。

先頭を走るH君
マイペースの彼の姿はもうカーブの向こうに消えている
「地図とその他小道具」を引き当てたのは運が良かったけど、
地図がないと
どこで曲がったらいいか
わからない
じゃないか!
と、冷静に心配してみるが、
底抜け野郎S不遇少年I
それぞれの世界に没入していて
目の前の現実が見えていないようだ。

この
天然小僧H自身が道を間違えて
正しい道を進んでいた我々と
はぐれてしまう
など、
これから
山のように起こるハプニング

正直、当時は少年の私でも
簡 単 に 予 測 で き て い た

ここまで
約3時間


まだ先は長そうだ。
ため息をつきつつも、
とても楽しいことが始まりそうな予感に
胸躍る自分がいた。


2012.5月20日 午前8時

出来たばかりの新東名高速道路まで
家を出てから20分。
確か20年前の子供の自転車ではここまで2時間以上
かかったはずだ。

成長著しいなぁ と、

バイクを撫でまわしながら思う。
俺の力じゃないんだけど

今回は玉川流域から井川ダムへ向かい、
そして大井川下りへと
峠を越えるコースとなります。

これまでの旅に比べれば
軽いウォーキングみたいなものかな
↑立った!フラグが立ったよ!↑



1992.8月上旬

曲がるべき道を真っ直ぐ進んでしまい、
梅が島方面へ突入しようとしていた
天然小僧Hをようやく回収し、
底無し野郎Sにたんまり叱られていた
こちらも怒りたいくらいだった
目的地である玉川に着いた。

予定時間の昼を大幅に超えているが、
底無し野郎S「釣った魚で昼飯にする」という
どう考えても
無茶なプラン
全員で
とりあえず実行してみる

…………
当然、
釣れる気配なんぞ皆無
30分もすれば少年でも気がつく。
私が早々にさっき通り過ぎた売店に
こっそり行こうとしたところで
底S「絶対釣れる」と意地を張り
天H遇Iは当然 売店に行く という。



その売店は20年たった今でも、同じ佇まいだった。
はっきり覚えている。
このあと米の袋を
丸ごと川に流したときも、
ここの
カップラーメンに救われたんだった。
捕獲用のモリがあって、
天Hが おもしろそう と買い、
川底を突いてたら まさかの
天然なまずが獲れたんだっけ。



この店で
誰が言い出すわけでもなく
4人分、あいつの分もパンを買って、
川に戻ったら
もう
底Sは海パンに着替えて
遊びモードに入ってやがった
意地張ってたことなんて誰も憶えてなかった。

岩から川に飛び込んだり、
ぎゃーぎゃー騒ぎながらテントを組み立てたり、
轟々と燃える網の上でバーベキューしたり、
夜に川が増水して
あと少しで
テントも川に持っていかれるところだったり
苦い思いもしたけど
それはそれは楽しかった。

子供の頃の体験ってのは貴重だ。
大人になってからは絶対こんなことできない。
子供だけでこんな宿泊を許してくれた
当時の親にも本当に感謝しなくちゃね。




大人になると世界は縮む。

ここまで40分くらい。
子供の頃はあんなに遠かったのに。
すぐでした。
偶然にも、当時の俺たちと同じ場所で
キャンプをしている家族を発見。

いつか俺にも家族が出来たら
ここでキャンプがしてみたい……


な  ん  て  ね

なんかまじめに語っちゃってますよDDK
この頃の体験が今に生きてるよね
無茶する的な意味で




茶畑が綺麗。

このキャンプ旅行は
個性派ぞろいのメンバーでちょー大変だったが
すごく楽しくて、
そのあと3年くらい連続で
ここに来るようになったんだっけ


今ではみんなそれぞれ大人になって、
子供がいるヤツもいる。
底S おまえは子沢山すぎだ
みんな元気にやってるみたいでなによりです。

ち な み に
4人の少年の名前はばらばらに入れ替えてあります。
運良く軽い荷物を引き当てたのに、
仲間を置いていってしこたま怒られたのが、
結局誰だったのか。

みなさんならもうお分かりでしょうね。

思い出の地はここまで。
ここから先は未開の地に踏み込みます。
ここまで出発から1時間くらい。



いやあ、この年になると
昔が懐かしくてね。
バイクだとあっという間なんだけど、
ちょっと思い出を掘り返しながら
同じ道を走ってみようかな と
ふと思い立って今回の旅に至ったわけなんです。


②大井川鉄道の思い出

  
  1. 静岡山奥