キャロットクラブ2020募集馬血統評価 ディープインパクト産駒

キャロットクラブ2020募集馬血統評価 ディープインパクト産駒

ディープインパクト産駒は今年最後です。プレミア感とか毎年茶化していましたけど、今年はイヨイヨ値段がヤバい。

1、デックドアウトの19 20万/口 牡

スピードに長けたMachiavellian系とパワー豊かなKris S.系ととても良さそうな配合に思える。母デックドアウトはアメリカンオークスを勝った名牝で、母父Street Bossからは他にキャサリンソフィアなども出ておりやはり軽めのアメリカ芝を得意とするクラシック血統だろう。これはディープ用に輸入した期待の初子。。。だったはずなのだが不況の煽りをもろにくらった上にレイクヴィラ育成、早生まれにもかかわらず超小柄と購買意欲を削ぐ要素が満載で、結局競りで買い手がつかず主取りになっている。
血統図からは期待は高い。前評判からはおそらく人気にもならないだろう。いかにもご新規様向けに思えるし、この値段は血統からは妥当、ディープ産駒を買えるチャンスですよ!ご新規様!

2、ヒルダズパッションの19 37.5万/口 牡

宝箱は開ける前が一番楽しい。例え中身が白く臭い煙であっても、幼いころに引いたガチャガチャの景品だったとしても、開ける前の妄想は無限大である。ジークカイザー、ヴェルテアシャフト、これらへの私の期待がいかほどだったのか。
母ヒルダズパッションの血統構成はかなり面白い。牡系統の■Nas.の濃さは当然として、さらにはSadler’s Wellsにからんで牝馬のクロスを2つも含んでいることがわかる。牝馬Specialの血はNureyev1/2(当馬1/64)、Sad. Wel.1/4(当馬1/64)、牝馬Lalunの血はNever Bend1/2(当馬1/128)、Sad. Wel.1/8(当馬1/128)と、この2頭が当馬の奥でクロスされているのだがこれによるスピード活性がヒルダズパッション自身にとても強く出ており、また遺伝力も高いのだろう。
牝馬Specialは幾多の名馬の血統に名を刻む名牝中の名牝で、Phalaris系とHyperion系の血統図から考えてスピードと持続力の強化が本質だろう。牝馬Lalunはケンタッキーオークスを制した名牝で血統図はTourbillon主軸ながらTeddy&Himyarのクロスをゴリゴリ積んだパワー血統でNever Bendの母(⇒Rivermanの祖母)、Bold Reasonの母である。底力と頑健さを強化しているといえる。さらには母父のAlzaoと母母父のEl PradoはNorthern Dancer系の父と■Sir Ivor系の母で構成される相似配合で、特にAlzao⇒Lyphardの瞬発力強化に成功しているといっていいだろう。母父系統がこれらのウルサいクロスを邪魔しない■Mr. Pro.、しかもちょっと遠縁になりつつある孫系統というのもとても良い。父母の能力がとても伝わりやすく、しかも効果的なクロスにより刺激も大きい。将来を期待できるだろう。」
と読み返すのも一苦労だし当ホームページのどこにこんな記載があるのか探すのもおそらく私しかできないのでここに再掲するが、私の大きな期待を背負った馬は世界制覇=ヴェルテアシャフトと名乗り、2勝のまま引退した。その馬が1.2億、今回は1.5億である。なかば値付けにやけくそ感を感じるのだが、宝箱のような景品表示を堂々とできるのが血統表の狡さで、買う側の自己責任を問われるのだから値段はいくら高くてもいいのだろう。お金持ちの皆さまは今年もこの馬に行くのでしょう?ぜひ、頑張ってください。今年は虹の宝箱だと良いですね。

3、ティズトレメンダスの19 16万/口 メス

岡田スタッド生産、つまり日高の馬が競りを経て当クラブに来るわけだが、これは自前のノルマンディーで募集できない理由があるのか?と邪推してしまうあたり、自分の心が腐っているなと実感してしまう。しかもなぜか募集価格が購入価格以下。これはもう怪しさ満点だが、血統的にはどうだろうか。
母父Tiznow系は父ディープとの実績が(私が調べる限り)あまりない。芝の中長距離に適性があるディープとダートの短距離を走っていそうなTiznowでは全然違うように思え、やはり相性はいいとは言えないかもしれない。と書き終えようと思ったのだが、今年似たような血統図を見たな、と思って調べなおすと2020ダービー馬コントレイルがなんと父ディープ、母父Unbridled’s Song、母母父Tiznowだったのである。当駒は今年のダービー馬に似た血統図を持っており、うまく成長すればスピードが花開くかもしれない……が、ダービー馬のUnbridledと当馬のフォーティナイナーでは特性が似て非なるというか、圧倒的パワー不足だと思うのでダービー馬並みの活躍を期待するのは酷だろうが、血統的には面白いと肯定的に評価したい。
だからこそ、逆にこの値段なのが不思議でならないのだが。何かあったな?!

46、キラーグレイシスの19 25万/口 牡

当サイトではディープとはネガティブニックスだと散々けなしているNasrullah系母との配合だが、Blushing Groomだけは同一に考えてはいけない。母系Blushing Groomといえば当同好会にとってはクルソラが一番手に浮かぶ。ディープとの掛け合わせでクルミナルを出しクラシック制覇一歩手前まで購入者TNBを持ち上げた功績は忘れてはならない。Nasrullah系べったりの血統図だがその他のKnown FactがF2-f牝系を引いており、同じくF2-f牝系のディープと好相性の可能性はある。先行型になりそうだがスピード要素もあり、値段も相応の期待を背負った1億円。(兄姉の微妙な成績は気にせず)皆様はぜひ抽選会にご参加いただきたい。

47、ピースアンドウォーの19 メス

ディープ産駒の最後にこういう馬を隠すな と声を大にして言いたい。母父Danzig系でRubiano>Fappiano系の血も含まれており、どちらもディープとの相性が良い。母母父Smart Strikeはスピードとスタミナを両立する名種牡馬である。さらにやや強引に言えば母母母Miss YiaYiaはDamascus>Teddy系とHail to Reasonの配合でサンデーサイレンスと相似配合である。惜しいのはどの血統をとっても「芝向き」の要素が乏しく、砂上の将来がどうしても見えてしまうのでクラブ側としても値段を釣りあげようがないので6000万というダート牝馬として考えた時の最高額なのだろう。相棒TNBはクルミナルで、私DDKは幸いにしてレイパパレでようやくディープの当たりを引いたので、もう2人とも、課金ガチャゲームと化している「ディープの宝箱」に手を出す必要はないのだが、これまでずっと高額をつぎ込んできてそれでもなおディープの当たりを引けていない皆様にはぜひ当馬をお勧めしたい。血統図からは迫力が伝わってくるようだ。

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