キャロットクラブ2020募集馬血統評価 ロードカナロア産駒
お金持ちの皆さまが大好きなカナロア産駒。当クラブの現３歳馬の成績は……ま、強い弱いじゃなくて期待値だからね。
9.サミタ―の19 12.5万／口 牡
馬体が公表されたら、ああ、やっぱりなぁ と気持ちが萎えてしまいそうなので少しでも良いことを今のうちに書いておきたい。（8月24日時点） 母サミターはF2-fAltoviscorの牝系でディープインパクトと同じ勢いのある血だが、数年前まで「スピード牝系である」と述べていたが最近ではどうにもその批評が間違っていたようにも思える。芝向きは芝向きなのだが重厚感のある欧州芝向きで、軽いステップで走るというよりはドスドス系の、キタサンブラックとかああいう走法の傾向が出やすいのではないかと思える。とすると馬格が欲しいわけで、姉２頭が活躍できないのも納得できる。この父がパワーを付加できるかというと、微妙……なのだが、今回は牡なので、馬体を見るまでは妄想してもいいのかも？ 同牝系のクーデンビーチの娘・グレースベイを血統で選んで未勝利引退を食らった身としては妄想しても手は出さないだろう。
10.ハープスターの19 25万／口 牡
2016年産未勝利引退。と書いたくらいでは誰の紐も閉まらないだろう。母系にファルブラヴが入ったカナロア産駒はステルヴィオだし、類似血統のNureyevが入ればアーモンドアイだし、他の類似血統Sad Welが入ればサートゥルナ―リアである。じゃあなんでリュラネブラが走らないんだよ！と絹クラブの皆さまがお怒りになると思われますが、 知りませんよ怒らないでくださいよ。
11.ルージュバックの19 12.5万／口 メス
母父ディープには期待できない。と、随所に書いてお金持ちさまの反感を買っている私だが、マンハッタンカフェもディープに似たサンデー×零細系の配合だけれどもこちらは気になっている。ロードカナロアもキンカメに零細系を加えた配合で、「一発屋」を多く出す博打血統の側面もあるのではないかと推測するのだが、この博打を成功に導くのがRibotのクロスやOwen Tudorのスピードではないか。母母父Awesome Againもアメリカ血統でカナロアと相性が良さそうに思えるし、母自身も長距離まで戦えるスタミナと瞬発力があったし、これがメスでなければなぁ……
12.シーズンズベストの19 9万／口 メス
2018年産で散々な成績だった「低価格のカナロア」、同様に考えるならお買い得感（あくまで「感」だが）のある当産駒あたりは非常に危ういと言わざるを得ない。母父ゼンノロブロイの牝系にしても母母父ザイーテンにしても短距離志向でこの父との和合性はありそうに思えるのだが、母の産駒で一番活躍しているのはエピファネイアの仔だったりするので短距離同士の配合はあまり良くないのかもしれない。しかも低価格帯といってもこの値段という。
52.マルティンスタークの19 12.5万／口 牡
堅実な牝系と毎年書いているが意外にもミスプロ系種牡馬との配合は今年が初めてで、その堅実さが今年に限っては個人的には信用できない。これまでパワー系の荒くれ者の血を飲み込み浄化し、前向きな気性へと転化させてきた母にとってこの「猫のような」父はどうなのだろう。密かにやんちゃな茶髪が好きな文学女子にクラスの優等生が近寄っても、上手くいかないような気がする……などと妄想的な話ではなくて、短距離馬ダイワメジャーとの仔が未勝利に終わっているからカナロアも厳しいのでは と思っているのである。
53.サンビスタの19 20万／口 牡
サンビスタ！当クラブで会えるとは思わなかった、当産駒を手放したユニオンに感謝である。ロードカナロア自身は決して万能種牡馬ではなくて母の力を引き出すことに長けている、キンカメと同じく「味の薄い」血統だということはお気づきだろうが、母自身の能力に加え母父が「流行血統」なのが大事だと思う。ルージュバックのようにRibotで一発を狙いに行くのは副次的な効果に過ぎず、当駒はスズカマンボの牝系からKingmamboのクロスとStorm Cat(Flares/5) = Nijinsky(Omaha/4)の相似血を取り込んでいる素晴らしい配合の王道パターンである。（サンビスタ自身でFlares(パークリージェント＜Chop Chop）=Omahaのクロスを使っているのが気にはなるが。）競り経由なので価格高騰は仕方ないが血統的には実に面白い。サンビスタの配合になんとなくサイレンススズカの面影を見ていた私にとって、思いがけない出会いに財布が吹き飛びそうだが果たして耐えることができるかどうか。今年の募集馬の血統評価を書いていて初めて、欲しいと思える馬に会ったかもしれない。
54.シェリールの19
母高齢
55.ジンジャーパンチの19
母高齢
