キャロットクラブ募集馬血統評価2019~モーリス~

21.ウィズザフロウの18 牡 母9歳 7.5万/口

牝系Much Too Risky。忘れようも無い、私に初の北海道旅行をプレゼントしてくれたアサクサデンエンの出身牝系である。

その弟スウィフトカレントも東京を得意として天皇賞や安田記念で奮戦し、さらに弟ヴィクトワールピサは世界を制した。その後も別の枝から延びたプチノワール牝系ローブティサージュが(我が愛馬サンブルエミューズを蹴散らし!)2歳女王に輝き、とにかく私はこの牝系に縁がある。この牝系は1600mから2000mをスウィートスポットとして東京や小倉に強い、わかりやすい牝系である。と、この牝系を理解した上で血統表を見ると、モーリス=ロベルト血統と特長が酷似しているように思えたなら、宣言しよう、あなたはだいぶ血統に毒されている。父がやや晩成寄りなのが気になるが、プチノワール牝系の仕上がりの早さで父をカバーできるならマイル戦線での活躍は大いに期待できる。後述するがモーリスの中のカーネギーとIn the Wingsの相似配合もきっちり試されているのもとても良い。たとえ競りで誰も競ってこなかった一発落札だろうと、競りから値段1.5倍の爆盛りだろうと、キャロット牝系ではないので抽選は激化するだろうが、血統好きならこの馬は見落とせませんな。

22.ブルーメンブラットの18 牡 母15歳 12.5万/口 母優先

16年産牝 父キングカメハメハ(1) 15年産 父キングカメハメハ牝 (地戻)
どうにも芽が出ないまま高齢を迎えてしまった母だが、今回はキンカメ系を捨てて実験配合を試してきた。この配合の面白さは父父スクリーンヒーローの牝系ダイナアクトレスがノーザンテースト=Northern Dancer×Tom Fool系で、母父アドマイヤベガの牝系アンティックヴァリュー系がNorthern Dancer×Tom Foolと相似配合の名牝系を父母が抱えているところだと思われる。マイルG1を獲っている母の一口会員にとってこれまでの産駒のふがいなさはとても悔しいだろうし、マイル王との配合で牝系も絡めて一発を期待したい・・・と思う心は大変理解できるのだが、脚部不安がつきまとう可能性があり、この値段は正直リスクの方が高いように思える。

23.ピュアブリーゼの18 メス 母10歳 6万/口 母優先

ピュアブリーゼの逃げ粘りを強烈に記憶している私にとって、その先行粘りだけがこの血統の取り柄であり、絶望的に加速力を持たないこともよく理解している。実際にピュアブリーゼの子も距離を伸ばしてもなお追走に苦労しているていたらくである。切れ味で勝負するタイプの種牡馬には思えず、Sadler’s Wells系のクロスもより鈍重さを強めてしまうだろう。ピュアブリーゼの兄弟パルフェクオーツ、パシフィスタを持つ我々同好会がゴール前で何度も胃を痛めているので、食欲過多に悩むご新規の方々にはオススメかもしれないが、神経の細い既存会員様にはあまりオススメしない。

61.シンハライトの18 牡 母5歳 25万/口 母優先

私が抽選落ちしたシンハライト。逃がした魚は大活躍し、クラシック馬になった。不思議と後悔はない。私の血統を見る目は正しかった。シンハライトは脚元の脆弱性と極限のスピードを併せ持った名牝で、ディープの瞬発力とシングスピール>Haloのスピードをどちらも強く受け継いでいた。その名牝の産駒が初子であろうともきちんと良い部分を受け継いでいて欲しい。父側のカーネギー(Sad系×Never B.系)とシングスピール=In the Wings (Sad系×母母Never B.系)の相似配合でスピードの遺伝を活かそうという牧場の意図はよくわかる。値段も破格。これは活躍も間違いない・・・・・・と言えれば、良いのか?
どうせここを読む会員などほとんどいないのだから好き放題に書いておくが、私は母父ディープが悪さをしそうな気がする。父モーリスの本格化が遅れた原因はY厩舎にある、と著名な皆様がブログで書き綴っているが、私は母側のメジロモントレーの血にも原因があると思う。このメジロモントレーがディープ側のウインドインハーヘアと類似血統(Lyphard系とBlandford系を含む)なのが、当駒に鈍重さを付加してしまうのではないかと、そう見えてならない。
大抽選会は間違いない。当たり連発の牝系にあって突如として訪れたシンハラージャの悲劇は忘れて、皆様、ぜひ、頑張っていただきたい。

62.スパニッシュクイーンの18 牡 母6歳 10万/口

一見すると、Northern Dancerのクロスが濃い馬だな、としか思えないかも知れない。よく見ると、いやこの表には書いていないのだけれども、Nureyev(N. D.×Special)=Sadler’s Wells(N. D.×Special牝系)、El Gran Senor(N. D.×Tom Fool系)=ダイナアクトレス(N. D.×Tom Fool系)、Tribal Rule(Storm Cat=N. D.系×Ribot系)=グラスワンダーの母Ameriflora(Danzig=N. D.系×Ribot系)と相似配合を3本抱えている「これは面白い配合ですね」パターンである。アメリカンオークスを制している母の潜在能力は高そう。一つ上の姉は新馬戦で微妙だったが、当馬は牡で値段の高さを除けば配合的期待は高い。

63.シーザリオ 牡 母16歳 30万/口 母優先

母高齢。どうせ買えないので評価も不要。毎年クラシックって、同じクラブでも雲上の存在だよ。30000番後半の会員(新規で入ったはずなのに母優先/一般優先を無視して権利を持っている会員)がサートゥルの権利を持っているのが黒い闇だと思うけど、それはまた別の話。

64.リラヴァティの18 メス 母7歳 8万/口 母優先

シンハリーズ牝系。こっちの母だって重賞馬なのにシンハライトが注目をされているおかげで絶好の狙い目である。しかも、シンハライト18で批評したディープインパクトがこちらには居ない。母父ゼンノロブロイで19年8月時点で一番賞金を稼いでいるのはハイランドピーク(父トーセンブライト=Roberto系)であり、実はモーリスと相性が良いのではないか。前述したカーネギーとIn the Wings の相似配合も踏襲しているし、ダートに寄る可能性にさえ目をつぶれば活躍の期待は高い。ここまで読み進めてくれた貴方、それはとても感謝しているが、この馬は私が狙うのでできればシンハライトに行っていただきたい(願望)

65.ジュモーの18 メス 母12歳 8.5万/口

ジュモーの産駒の内、プロフェットとクラージュゲリエにあってモントルイユになかったもの。それはすなわちRibotのクロスではないかと思えるのだが、諸君いかがだろうか。ハービンジャーにはHis Majesty、キンカメにはGraustarkが含まれていたがタートルボウルにそれは近親には無かった。ブライアンズタイムという現代における鈍足血統を大舞台に引き上げるためにはRibotの頑健さが必要なのだろう。モーリスはグラスワンダー由来のHis Majestyを持っている。血統的には活躍できる可能性がある。しかし、そもそも成長の遅い血統同士の組み合わせなので大成をじっと待つ必要があるかもしれないし、実は「メス」であることが大きなマイナスになる可能性は否定できないのだが。

※クラブから情報の転載許可を得ています