極楽浄土への道 北東北編④
~恐山体験~

7月15日 午後5時10分
まだ周囲は明るいものの、
夕暮れとあって人はまばらだった。


正門前には、
東日本大震災の鎮魂塔が建っている


正門奥には本殿。
荘厳。


参道のわきには、湧き出た温泉が流れている。
あたりは硫黄の臭気が漂っている。


本殿はいたって普通の造り。


静かに手を合わせる。
人の声も遠くなりつつある。


本殿横の地蔵。
風車が数本。
地蔵が小さいのは 子供の供養 ということだろうか


本殿左手から、地獄を模した岩山が広がっている。


岩山を登っていく。


積まれた石。
三途の河原を模したのだろうか
荒涼とした大地に、物音ひとつせず。
世界に、私がただ一人。


山の向こうに仏。
西方極楽浄土をみつめていらっしゃる。


手前が地獄、向こうは極楽。


湖の向こうには極楽…だが、霧で見えず。
風車の音が響く。


足元には小さな地蔵が点々と置かれている。
ところどころに、名前の書かれた石も置かれている。


大きな仏像の足元まで歩いた。


仏の顔は、自身の心を写す鏡であるという。
ここに集まる魂を強いまなざしで抑えているように見える。


極楽に行くにも、誰かの指示を必要とするのか。
人は、死してなお受動的なのである。


川を渡れば、極楽浄土。
夏の鎮魂祭では、河原から極楽に向かって
会いたい人の名前を呼べば
川の向こうからその人が戻ってくるのだという。


一周回って戻るころには、
日暮れが近づいていた。

霊場 と呼ばれるその庭は、
考え得る地獄の姿が描かれていた。

そこは、ただひたすらに静かであった。

感覚が研ぎ澄まされ、
自身について考えさせられる、
確かに異空間ではあった。

過去から現代に至るまで、
この土地はこうして人々の
心を洗い、癒してきたのかも知れない。

魂が集まる場所、と言われ、
人々が求めた救いを受け止めるだけの
威厳が恐山には感じられた。

この場所はガチだった


庭園内には温泉もあり。

今日は宿坊体験なので、
このあと夜の部もある。

いつもの感じに戻します。

恐山 吉祥閣
中身は立派です。

午後6時 夕食
食前にお題目を唱えての食事開始となります。




  
精進料理です
滋味深くおいしゅうございます。


宿坊施設内にも温泉あり。

宿坊ですので、
部屋にはテレビもありません。

午後8時からは
ご住職さまによる御説法

薄っぺらく語るのもアレなので3行で。

なぜあなたは生まれたのか
そこに見返りを求めない愛があった
1組の男女に親の役目を与えた という役目


あと、恐山への墓石の不法投棄禁止


生まれる意味ですか
これまで考えたことなかったです

人間なんて醜く老いて死んでいくもの。
これまでの旅の多くのシーンで
人間の醜さを見てきました。
利己的で独善的、
どこにでも群がり他の迷惑を省みない。

日本全国どこへ行っても
そういった集団に遭うでしょう。これからも。
なぜこの国は年寄りだけが元気なのか

やはり私は ぼっち でいいや

ただ、テレビもないこの山奥で、
説法を聞いて人生を考えるという体験を
昔の人は楽しんだのでしょうね


さて、夜10時に消灯なので、
それまで境内をプラプラします。


夜の正門


温泉の灯りだけが辺りを照らします


暗がりに建つ灯篭


大震災冥福塔
足元の風車がカタカタと泣いています

宿に戻って、風呂を浴びて、就寝
さて、明日6時に朝のお勤めだけど、
起きろよ。前フリじゃないぞ。

⑤大間→奥入瀬→八幡平

  
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